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ひなた【一応完成?】

9月某日、天気は晴れ。
暦上では秋とされていても、まだ秋らしさはあまり感じない。
しかし、暑い日はあるけれど、少しずつ日差しはぎらぎらと光る金色の光から、優しい銀色に変わり、過ごしやすい日が増えてきたかも、
なんて、そんな事を思うようになった今日この頃。
私は今日も特に変わった事もなく、普段通りに学校で過ごしていた。
時間は、体内から意図して出したい訳ではないのに自然と音が鳴り出す昼頃。
生きているのだから当然の事なのだが、やはり人に聞かれたりすると羞恥を感じるのはやはり乙女心か。
今はその音を鎮めるための昼食時間。机と机をくっつけて、食事を楽しむ何気ない少女達の談笑の一時。


「へぇー、そっかぁ。やっぱり桜華ちゃんと柊さんはなんだか恋人!って感じでいいなぁ。柊さんは桜華ちゃんを一途に想ってるし桜華ちゃんは一途に柊さんの事を想ってるし互いに互いを支えあってるって感じが恋人関係って感じで素敵だよね」

「あら、ありがとうひなちゃん」

その答えを返したのは同じクラスの「国里 桜華(くにさと おうか)」
私の大切な友達でもあり親友であり、学校にいる時は彼女と一緒に過ごしている時が多い。
会話内容は、普通の話もあれば、最近彼女自身にお付き合いを始めた人が出来た為、こういう会話も増えた。
話には聞いているけれど、素敵な人に巡り合えたのは親友として何よりだと思う。

「うふふ、でもひなちゃんにだってとっても素敵な人がいるじゃない。ひなちゃんの事を大切に想ってくれる人が」

「はぇ・・・っ///;!?」

彼女が言う人物。
それは、今から約2ヶ月くらい前まで、時を遡る事になる。
これまで、異性と付き合うという事が全くなかった私にも、お付き合いを始めた人がいる。

偶然か、運命の女神の気まぐれから生まれた運命だったのか、今となってもその答えはどちらとも分からないが、その人は桜華の恋人
「柊 朔真(ひいらぎ さくま)」の幼馴染だった。
ただ、その人と出会ったきっかけは「親友の想い人の見たさからきた好奇心でついて行った日」が最初ではない。
実はと言うと、その出会いは私にとっても、その人にとっても、出会いではなく『再会』になる。
 
『親友の恋人とは幼馴染』というその事実を知る少し前に私は、その人に出会った事がある。
最初の出会いは、恋愛漫画のような素敵な出会いとはかけ離れて私は、たまたま見てしまっただけだった。
彼に起きた修羅場の現場を―――


それがハジマリの始まり。


彼は何をしでかしたかは分からないが、私とそう年齢が離れない女の子が、彼に平手打ちをし「最低!」という言葉を吐きその場を走り去っていった。私はそれをたまたま目撃してしまいその際に目があった、というだけではあるが。
全容を見ていたわけではないが、凡その流れはすぐ想像がつく。
だから、正直言えば彼の最初の印象はというと、はっきり言って良くない。
変に巻き込まれたくなくて、その日の私は、その場から直ぐに立ち去った。
「あんな人と私は絶対関わりあうことはないだろう」なんて思っていたが、その日からあまり日が経たないうちに、こんな些細なきっかけからまた出会ってしまったというわけだ。

正直、この再会は私にとって、とても気まずいものでしかない。
が、流石に親友とその恋人の手前というのもあり、帰るというわけにも行かず、その日から互いの顔と名前を知る程度の顔見知りの関係になったのだが、それが今に至る迄へのきっかけだった、なんて今でも嘘のように感じる。

実際、こうして付き合う前までは、彼は最初の予想通り女の人を見れば誰にでも声をかけたり、日替わりで女の子が変わって遊んだり、女の子なら誰でもOK!みたいな軽い人だったので、何時「嫌い」という分類に分けられても可笑しくなかった。
が、友人とまではいかなくても、知人程度に交流をしているうちにその人間性に惹かれ、信じられない事に気がついたら頭からその人の姿が離れなくなり好きになってしまっていたのである。

人は見た目にはよらないという言葉は本当だ。
いい印象は持ってなかったはずなのに、何度か交流してみればそこまでいい加減な人ではないと、感じ始めて惹かれていく自分がいたのだから。
その惹かれてゆく自分を抑制するように、一時期わざと離れた時期もあり、最終的には自分の首を絞める結果になり一人で悩み続けたが、桜華の後押しもあり想いを告げ今に至る。
(あんな酷い態度ばっか取ってたのに「知ってたよ?」なんていわれた時は顔から火が出ると思ったけどね・・・///)

正直な胸の内を言うと、今でも「どうしてこの人を好きになったんだろう」と疑問に思う事が無い、という訳では、ない。
付き合い始めてからの彼は、他の女の子と遊ぶということはしなくなり、私だけを見ていてくれてるというのも分かってるものの、嫌な気持ちではないが複雑な気持ちを抱く時がある。
(やっぱり色んな女の子と付き合ってきたりして慣れてるんだろうなぁ・・・。)

でも、恋愛の何から何までが全て初めてで、色々と手探りな状態の私にとっては、手をひっぱって彼のペースでリードしてくれる事は有難い。



「うー・・・ん・・・いるのはいるけれど・・・。でもほら、桜華ちゃんと柊さんの関係と比べたらなんっていうか・・・好きだけれど恋人と言っていいのかとか人から見たらどう見られてるのかとか・・・。
なんだか、からかわれてる感がまだ拭えきれてないところがある気がしなくないし・・・////」

「あらあら、そんな事ないわ。私から見てになるけれど、ひなちゃんと一緒にいる保高さんはとても楽しそうだもの。
もっと自信をもって自分は愛されてると思ってはどうかしら?」

「そうかなぁ・・・?」

愛されてない と思ってるわけじゃない。信じてないとも違う。
寧ろ、ありのままの私のことを受け入れてくれてるから、今の関係が出来てると思ってる。
ただ、どうにも自信がつかない。
桜華と朔真の築いている、互いが寄り添い、支えあう恋路と比較してしまうと自分は彼の行動に翻弄されるばかりで、なんというか、頭で描いてる理想の恋人像を考えてると、自分とその人との関係は「恋人らしくない」と感じているのかもしれない。
そうなっている原因は、自分でも理解はしている。
とは言え、答えを知っていても、そこからどうしていいか分からない故に流れるように、彼に身を預けてしまったりもしている。

「そうねぇ・・・じゃぁどうしたら自信がついてくるかしら?――――そうだわ。女の子は言葉を貰わないと不安になる時もあるものね。
やっぱり保高さんに「愛してる」とか言われないと駄目よね。それなら柊さん経由で保高さんにお願いしましょうか!」

と彼女の思い浮かべた一案が、名案と言わんばかりの顔で言い出してきたので、突然の案に不意を突かれた私の体は頭に火を燈されたように体温が一気に上がっていくのを感じた。

「やっ、そ、そんなんじゃないよ;!やだもう桜華ちゃんったら;!そんな事言われなくても大丈夫だよ、ホントに! というか、それでお願いしたら無理に言わせたみたいになっちゃう;!////」

「そうかしら?そんな事無いと思うのだけれど・・・」

「そういうのはお願いしなくて本当に、大丈夫だからね!ね;!?////」

彼女は、真剣に私の事を思って言ってるのは分かるものの、時々凄い事を言ってくるので吃驚させられる事がある。
元々彼女は天然な所があるので、その言葉が冗談なのか、本気なのか正直分からない。
そんな彼女の言葉に対しても昔から私は、感情が素直にでるらしく顔に出てしまう所がある。
だからこそ私の想い人。
「保高 秋弥(ほだか あきや)」にからかわれたりしてるんだろうな、という自覚を持っている。





「―――でも・・・言ってくれるなら・・・嬉しい・・・・・・かな・・・」





その言葉は私自身の胸の中に秘め、留めた呟き――――
の心算だった。
しかし彼女は嬉しそうに笑顔を浮かべながら「あら・・・、まぁ・・・。ひなちゃんったら素直ねぇ」と言い出したので、一瞬なんの事だと思い思わず「へ…?」と声を上げる。
直後、ついやってしまったとハッと気づき、ますます顔が赤くなる。

「お、おうっ、桜華ちゃん;! い、今のはな、なんでもないの !誤解だからね !ホントにそんな事思ってなんかないんだからっ;!
ちょ、ちょっと嬉しいなって思ったぐらいなんだからね !本当だよ!/////」

私は、あまり隠し事とか得意ではなく、焦ったりすると胸の内に秘める心算だった言葉をつい口にしてしまう癖がある。
こういうところがあるから、と自覚しているので常に平常心であろう、とするが意識すればする程つい自分で墓穴を掘ってしまう。
それは秋弥にも既に理解されている。良くも悪くも嘘はつけない性格なのだ。

「うふふ、じゃぁさっそくご連絡しないとね。善は急げ、だわ」

「わ、わーっわーっ; ///// !! 桜華ちゃん、ちょっと待ってーっ !」

「でも、ひなちゃんが喜ぶのだったら私が一肌脱がなきゃ」

こういう時の彼女は、積極的で本当にやりかねない。
必死に止めに入るが、彼女は私に優しい微笑みを向けながら自分の携帯を手に取る。
こうなったら覚悟を決めるべきなのか、強引にでも彼女の携帯を奪い取るべきかの二択を迫られたその時、彼女の手の中にある携帯のバイブが響きだした。

「あら・・・?メールね、何方かしら?」

彼女は携帯を開き差出人を確認すると「まぁ・・・」と一言洩らし内容を見終わると嬉しそうな笑顔を浮かべながら返信を打つ。
こんな顔を浮かべるくらいだ。相手はすぐに想像がついた。
彼女は返信を打ち終え、微笑む。

「・・・もしかして、柊、さん?」

「えぇ、今日の放課後に、待ち合わせしないかっていうお約束をね。」

推測は当たりだった。
普段から笑顔を浮かべてる事が多い彼女だが、想い人からの連絡とあればそれは、さぞ特別だろう。
相手は、彼女にとっての『運命の人』と認める相手なのだから。

「じゃぁ、放課後デートって事だね。もうっ! 桜華ちゃんったらラブラブなんだからー ! お幸せにねーv」

「うふふ。ありがとうひなちゃん。」

幸せそうな笑顔を浮かべる彼女を横目に、何とかさっきの話は回避できたかな。とこっそりとホッとした事は内緒である。
が、その直後に私の携帯も鳴り出した。

「あれ、私にもメール?桜華ちゃん、ちょっとごめんね」

「えぇ、どうぞ」

携帯を開いて差出人を確認するまでは、他校に通う友人からの遊びのお誘い連絡や、家族からの連絡だろうぐらいにしか思ってなかった。
しかし、その予想ははずれ、届いたメールの送信者を見た瞬間に「ふぇっ;?!!!」とつい大声を上げる。
その瞬間、周りにいたクラスメイト達は、何事かと視線向けてきたので慌てて「あぁ、ごめんね;なんでもないのっ」と誤魔化した。
普通なら送信者を見たぐらいではこんな声をあげたりなんかしない。

ただ、一人を除くと。

「えっ、ちょっ、ま、待って待って;どうして・・というかどうしようっ;?!」

事情を知らない人が、今の私の様子をみたら不思議に思うだろうが事情を唯一知る桜華には、直ぐ送信者の相手が見当ついたのだろう。
赤面したり焦ったりと表情がコロコロ変わる私を微笑ましそうに見ていた。

「ひなちゃん。 保高さんからのご連絡かしら?」

その質問は、既に知っている答えの答えを、改めて聞くような愚問とも言えるが、その答えは言葉に出さずに軽くこくんと頷いた。

「まぁ・・・。やはり愛されているのね。ひなちゃんも保高さんも仲睦ましいじゃないの。それで、なんてご連絡があったのかしら?」

多分、送られてきた内容も、推測としてはついていただろうが聞かれたので送られてきたメールを見せると彼女は「よかったわね、ひなちゃん」と声をかけられたが、私は気恥ずかしさもあって続く言葉が返せないでいた。

「お誘いを受けるのでしょう?」

「それは駄目っ;!ぜーったい駄目;!」

桜華にとっては「あら?」と意外な言葉が返ってきた。
先ほどの話の流れから考えたら、断る理由もないはずと思ったであろう。
勿論、それは嫌がってなんかいない。寧ろ、会えるなら嬉しいと感じてる。
しかし、一つそれを拒みたい理由があるのだ。

「ご都合が悪いの?」

「う、ううん。そういうわけじゃないよ。」

「なら、どうして?素敵なお誘いじゃない。お迎えにも来て下さると仰ってるのに・・・」

私は、突然のお誘いで少々気が動転しており、喉元に空気が詰まったように言葉が出せずにいた。
が、搾り出すような小さな声で「お誘いは・・・とっても嬉しいの」と呟き、そして赤らまる頬を隠すように手を当てながら続けて呟く。

「だって・・・好きな人だもん。凄く嬉しいよ。でも・・・。来られるのが嫌だってわけじゃないけれど、もし、学校に来られて・・・その・・・他の人に見られてあの人誰って、聞かれたら「彼氏です」って答えるのなんか、凄く・・・恥ずか・・・しいんだもん・・・・・・////」

単純な答えだ。
誰かに、付き合ってるのを見られたくないとか、隠したいとか、そういう気持ちではないけれど、いざ他人に聞かれて自分の言葉として彼のことを表現するのが、ただ恥ずかしい、という理由なだけなのだから。
もし、私がやかんだったら、きっと白い湯気を惜しげもなく噴出しているぐらいに赤面しているであろう。

「そういうわけで・・・こっちに来るのは駄目だよぉ・・・///」

「あらあら・・・そういうことだったのね。 でも・・・早く返信しないと保高さん学校が終わったら、こちらに来てしまうわ」

御尤も、だ。
返信をしなければ了承と見做されて迎えに来るかもしれない。
もしくは、返信をしなかったことで何かあったのかも知れない、と来るかもしれない。
どちらが理由にせよ、このまま返信を返さずにいたら、ほぼ来ることは間違いない。

「そうだった;! 早く返信しないと・・・っ;! ああ、でも、どう返信しよう;? 駄目だけじゃ理由にならないし、まるで誘い自体を断ってるみたいになっちゃうし・・・別の場所で待ち合わせしようっていっても、どこがいいかとか思いつかないし・・・私があっち(サボテン学園)に行くのもなんか可笑しいし・・・うぅーっ;;」

横でああでもない、こうでもないと、頭を悩ましている親友を見て彼女は「それなら」と、提案をする。

「私と同じ場所で、待ち合わせしたら如何かしら? 柊さんとは公園で待ち合わせのお約束をしているから、ひなちゃんも保高さんに柊さん
と一緒に待っててって言えばいいと思うの。そうすれば学校に来て頂く、ということはないでしょう?」

確かに、そうすればわざわざ学校に迎えに来てもらうという事は避けられる。
何よりそれなら学校に来てもらう事は避けたいという本当の理由を上手い具合に断れる。

「名案だとは思うけど・・・でも、それって、柊さんと桜華ちゃんの邪魔にならない;? 折角の二人きりのお約束なのに、水を差しちゃわないかな;?」

「それは心配いらないわ。それに、待ち合わせは同じ場所でもデートする場所は、別々にすれば大丈夫でしょう?勿論、私はひなちゃんと保高さんが、ご一緒でも大丈夫だけれど。」

「そ・・・れは・・・そうだけど・・・ ///」

「それならもう、答えは出たわね。早く連絡して差し上げないと。時間は待ってくれないわ。私の方からも柊さんには話をつけておくから、ね?」

彼女の気遣いに甘んじていいのだろうかと、思いつつも別の案を考えるにしても直ぐに出る答えではなく、彼女の言う通り、それに伴う時間は待ってはくれない。そうして考えてる間にも連絡が遅くなり来てしまうと、いうことも有り得なくない。
なので「じゃぁ・・・今回はお願いしていい・・・?」と今回は甘える事にした。

「じゃぁ、私も保高さんにそういう風に連絡するね; 私の我侭なのに、ごめんね桜華ちゃん;」

「ううん、いいのよ。困った時は、お互い様でしょう?その代わり、私が何か困った事があったらひなちゃんに頼らせてちょうだいね」

「うんっ、それは勿論!桜華ちゃんは大事な親友だもん。困ったことがあったら助けたいもの。 ・・・でも、恋の話では桜華ちゃんが、私を
頼る機会はあるのかなーって、ちょっと思うけどね」

「あら、意外と私だって柊さんと何かあるかもしれないわよ?」

「そうかもしれないけど、私は、そんな日が来るとは思わないなぁ。だって二人とも、羨ましいぐらいに仲良くだもん。なんとなくだけど、これから先もずっと、そんな感じがするかな。このまま付き合って、10年後ぐらいして二人が結婚しても、今のままと変わらなさそうって思うよ」

「うふふ、そうである事を私も願うわ。御伽噺みたいな事を言うと、柊さんは私の王子様ですもの。それより、ひなちゃんも早く貴方の王子様にメールしないと」

「あっ、うん、そうだねっ ///」

私は、彼女のアドバイスを受けて、その連絡を彼に送る。
返信は直ぐに「わかった~。じゃぁ、公園で朔ちゃんと一緒に二人を待ってるね~」と絵文字のついたメール返ってきた。
これで、最悪の事態・・・という訳ではないが、緊急事態は脱しただろう。
かと言え、また彼に振り回されるんだろうな、と思ってしまう。
嫌な気分ではなく、複雑ながらも嬉しい気持ちを胸に抱きながら。



「今日こそは振り回されないと、いいなぁ・・・」



と、願いをこめた言葉を一つ呟き、恋に悩める私の話は、一度そこで区切りがついた。



【ここまで】

一応ここまで話は終わりだよー。
句読点とかは一応いくつか入れてみたけれど。

ちなみに話の中心の子はひなちゃんって呼ばれてるけど正確には『ひなた』って名前といってみる

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